雨漏りはそのままにしておくと建物が早く傷んでしまうため、できるだけ早めに修理する必要があります。ただ、修理費用はかなり高額になることもあり、ご家庭の家計を圧迫してしまう可能性があります。そんなときに心強い味方となるのが「火災保険」です。
東京海上日動火災保険では、火災による被害はもちろんのこと、台風などの強風や雹、雪といった自然災害による損害についても、条件を満たせば補償の対象となります。この記事では、東京海上日動の火災保険で雨漏り修理が補償される具体的なケースや、保険金の申請方法について分かりやすく解説していきます。
東京海上日動火災保険とは?
東京海上日動火災保険は、日本国内でも歴史のある大手損害保険会社です。「トータルアシスト住まいの保険」という住宅向けの火災保険を提供しており、さまざまな自然災害や偶発的な事故による損害を補償する内容となっています。
補償対象となる主な災害
- 火災、落雷、破裂・爆発
- 風災、雹災、雪災
- 水濡れ、外部からの飛来・落下・衝突
- 水災(オプション)
雨漏り修理が補償されるケース
火災保険が適用されるには、一定の条件を満たす必要があります。東京海上日動の火災保険「トータルアシスト住まいの保険」では、以下のようなケースで雨漏り修理費用が補償される可能性があります。重要なのは、「外的要因によって建物が損傷し、それが原因で雨漏りが発生した場合に限り、保険の適用対象となる」という点です。
風災が原因の場合
「風災」とは、台風・暴風・突風・竜巻などの強風によって建物が損害を受けることを指します。特に、風速20m/s以上の強風が吹いた場合には、保険の適用可能性が高くなります。
具体的な被害例
- 台風で屋根瓦が飛ばされ、その隙間から雨水が侵入し、天井に雨染みができた。
- 強風で棟板金(屋根の接合部分を覆う金属板)が剥がれ、そこから雨漏りが発生。
- 強い突風でスレート屋根やトタン屋根の一部が浮き上がり、そこから雨水が侵入した。
- 木の枝や飛来物が屋根や外壁に当たり、破損した部分から雨水が漏れた。
注意点
- 風災による損害と証明できる場合に限られます。経年劣化による屋根の劣化は対象外です。
- 風速20m/s以上が基準とされることが多いですが、明確な基準は契約内容によります。
- 風による吹き込みで発生した単なる雨漏りは、建物の損傷がなければ補償対象外となります。
雹(ひょう)災が原因の場合
「雹災」とは、直径5mm以上の氷の粒(雹)が降り、それによって建物が損傷することを指します。雹は局地的に発生しやすく、短時間で大きな被害をもたらすことがあります。
具体的な被害例
- 雹が瓦やスレート屋根を直撃し、ひび割れや破損が発生。その隙間から雨水が侵入。
- 雹の衝撃で金属屋根(ガルバリウム鋼板など)に穴が開き、雨漏りが発生。
- 雹によって窓ガラスが割れ、そこから雨水が吹き込んで室内が水浸しに。
注意点
- 雹による損傷が確認できる場合のみ補償対象。
- 屋根の劣化が原因であれば、補償は受けられません。
- 小さなへこみや傷の場合、見た目の問題として扱われ、補償対象外となる可能性があります。
雪災が原因の場合
「雪災」とは、大雪・積雪・落雪などによって建物が損傷することを指します。特に積雪の重みによる屋根の損傷は、雪国では大きな問題となります。
具体的な被害例
- 屋根に積もった雪の重みで瓦やスレートが破損し、そこから雨水が侵入。
- 屋根に積もった雪が一気に落ち、雨樋を破壊。雨水の排水ができず、屋根から浸水して雨漏りが発生。
- 雪解け水が屋根の隙間に入り込み、凍結・膨張を繰り返すことで屋根材がひび割れ、そこから雨漏り。
注意点
- 雪災による物理的な破損が確認できる場合のみ補償対象。
- 「すが漏れ」(雪解け水が凍結し、逆流する現象)は補償対象外となる場合が多い。
- 雪止めの設置や定期的な雪下ろしなど、適切な対策をしていないと「管理不足」とみなされる可能性がある。
補償を受けるためのポイント
被害箇所が明確でないと、経年劣化と判断される可能性があるため、証拠をしっかり残しておく。
いつ台風や雹、積雪があったのかを把握し、被害発生のタイミングを説明できるようにする。
事故発生から時間が経ちすぎると、風災・雹災・雪災によるものか、経年劣化かの判断が難しくなるため、早めの申請が重要。

雨漏り修理が補償されないケース
火災保険は、すべての雨漏りを補償するわけではありません。適用されるには、「突発的な自然災害などの外的要因による損害」であることが前提です。
一方で、以下のようなケースでは火災保険の適用外となるため、注意が必要です。
経年劣化や老朽化による雨漏り
建物は年月が経つにつれて劣化していきます。屋根や外壁の耐用年数が過ぎると、ひび割れや隙間が生じ、そこから雨水が侵入することがあります。しかし、経年劣化や老朽化が原因の雨漏りは、火災保険では補償されません。
具体的な例
- 瓦屋根やスレート屋根の防水機能が低下し、雨水が浸透してしまった。
- 屋根の漆喰が剥がれたことが原因で、瓦の隙間から雨漏り。
- コーキング(シーリング材)の劣化により、外壁のひび割れから水が侵入。
- ベランダの防水層が劣化し、雨水が建物内部に漏れた。
注意点
- 火災保険は「突発的な事故」による損害のみ補償するため、建物の老朽化による雨漏りは対象外。
- 築年数が古い家ほど、経年劣化と判断される可能性が高くなる。
- 定期的な点検・メンテナンスを行い、雨漏りを未然に防ぐことが重要。
施工不良が原因の雨漏り
リフォーム工事や新築時の施工ミスによって屋根や外壁に問題が生じ、雨漏りが発生することがあります。しかし、これは火災保険では補償されません。施工業者の責任となるため、施工不良が原因の雨漏りは、施工業者に問い合わせる必要があります。
具体的な例
- 屋根の防水シートが適切に施工されておらず、雨水が侵入。
- 屋根材の固定が甘く、強風で屋根がずれて隙間ができた。
- 雨樋の取り付けミスにより、適切に排水されず雨漏り発生。
- ベランダの防水処理が不十分で、雨水が建物内に浸透。
注意点
- 新築やリフォーム直後に雨漏りが発生した場合は、まず施工業者に連絡。
- 施工不良が原因なら、施工業者の保証期間内であれば無償で修理してもらえる可能性がある。
- 火災保険は、施工不良が原因の損害をカバーしないため、保険金を請求しても受理されない。
地震・噴火・津波による損害
火災保険では、地震・噴火・津波による損害は補償対象外となっています。
地震が原因で屋根が破損し、それに伴って雨漏りが発生した場合でも、火災保険では対応できません。これらの災害による被害を補償するには、「地震保険」への加入が必要です。
具体的な例
- 地震の揺れで屋根瓦がずれたり落下し、その隙間から雨水が侵入。
- 地震の衝撃で外壁にひび割れが生じ、雨漏り発生。
- 津波によって建物が浸水し、屋根や壁の防水機能が損なわれた。
注意点
- 火災保険のみでは、地震・津波による損害は補償されない。
- 地震が多い地域では、地震保険への加入を検討するのがおすすめ。
- 地震火災費用保険金という補償が適用されるケースもあるため、契約内容を確認しておく。
風雨・雪・雹・砂塵の吹き込みや浸み込み
屋根や外壁に損傷がないにもかかわらず、強風や大雨によって雨水が建物内部に吹き込んだり、壁や屋根を伝って水がしみ込んだ場合、火災保険では補償されません。
具体的な例
- 窓を閉め忘れていたため、強風とともに雨が室内に吹き込んだ。
- 風圧によって雨が軒下から侵入し、天井にシミができた。
- 長雨が続いたことで外壁の防水塗装が劣化し、壁内に水が浸透。
注意点
- 「建物に損傷がない状態での浸水」は、基本的に補償対象外。
- すが漏れ(雪解け水の逆流による雨漏り)も補償対象外となる可能性が高い。
- 雨漏りの原因をしっかり調査し、経年劣化や施工不良でないか確認することが重要。
屋根材や雨樋の軽微な損傷
火災保険では、「重大な損害」に対して補償が行われるため、屋根や雨樋の「軽微な損傷」は補償対象外となるケースが多いです。特に、外観上の傷やへこみだけで機能的な問題がない場合は、保険金が支払われません。
具体的な例
- 屋根材の「ゆがみ」「たわみ」「ひび割れ」「浮き上がり」など
- 雨樋の軽い曲がりやへこみ
- 屋根の一部に小さなひび割れが入ったが、雨漏りには至っていない
注意点
- 「美観上の問題」と判断されると、火災保険では補償されない。
- ただし、小さな損傷でも放置すると雨漏りにつながるため、早めの修理が必要。
- 事前に専門業者に診断を依頼し、損害の程度を正確に把握することが重要。

保険金請求の手順
火災保険を利用して雨漏り修理を行う際は、適切な手続きを踏まなければ保険金が支払われない可能性があります。
スムーズに申請を進めるために、以下のステップをしっかり押さえておきましょう。
1. 被害の確認と記録(証拠の収集)
まず、雨漏りの状況を正確に記録し、証拠を残すことが重要です。
保険会社に損害を証明するために、以下の方法で被害状況を記録しましょう。
記録すべきポイント
- 雨漏りが発生している箇所の写真・動画を撮影
- 天井や壁のシミ、濡れている場所
- 屋根の破損状況(瓦のズレ、スレートの割れなど)
- 雨樋の破損や詰まり
- 室内の水漏れの様子
- 雨漏りの発生日時をメモ(台風や強風の影響がある場合は、その情報も記録)
- 被害が発生した原因(台風、強風、雹など)を特定
- 被害前の状態が分かる写真があれば、それも用意する(リフォーム前後の写真があると説得力が増す)
注意点
- 修理を急がず、必ず被害状況を記録してから保険会社に連絡する。
- 現場の状況を壊したり片付けたりしない(証拠がなくなると保険が適用されない場合がある)。
2. 保険会社への連絡(事故の報告)
証拠を記録したら、速やかに東京海上日動のカスタマーサポートに連絡し、被害の報告を行います。
火災保険の契約内容によっては、適用対象外のケースもあるため、事前に契約書を確認しておくとよいでしょう。
伝えるべき情報
- 契約者名・証券番号(契約内容が分かる書類を準備)
- 被害発生日時と原因(台風、強風、雹災、雪災など)
- 被害箇所と具体的な状況(どこがどのように損傷したか)
- 建物の築年数やリフォーム履歴
- 被害の写真・動画があることを伝える
注意点
- 事故報告はできるだけ早く行う(遅れると保険適用が難しくなる場合がある)。
- 詳細な状況を正確に伝え、虚偽の申告は絶対にしない(保険金詐欺とみなされる恐れがある)。
3. 必要書類の提出
保険会社に被害を報告すると、保険金請求に必要な書類の案内があります。
スムーズに申請を進めるために、以下の書類を準備しましょう。
主な提出書類
- 被害状況を示す写真・動画(屋根や室内の損害を撮影したもの)
- 修理見積書(専門業者からの正式な見積書)
- 事故状況報告書(保険会社指定の書類、被害発生の詳細を記入)
- 建物の所有者を証明する書類(場合によって必要)
注意点
- 修理見積書は複数の業者に依頼し、適正価格を把握するのが望ましい。
- 火災保険の契約内容によっては追加書類が必要になることがあるため、保険会社に確認する。
4. 現地調査(鑑定人による査定)
保険会社は、提出された書類を確認した後、損害の程度を判断するために**現地調査(鑑定人の訪問)**を行います。
この調査で、本当に保険適用の条件を満たしているかどうかが判断されます。
現地調査の流れ
- 保険会社から連絡があり、調査日が決定
- 鑑定人(保険会社の担当者)が現地で損害状況を確認
- 調査結果をもとに、保険適用の可否が判断される
注意点
- 屋根の上など、素人が確認できない部分は専門業者に診断を依頼するとよい。
- 必要に応じて、業者に立ち会ってもらい、被害状況を説明してもらう。
- 鑑定人が来る前に、被害箇所を分かりやすく整理しておく。
5. 保険金の受け取りと修理の実施
現地調査が終わると、保険会社が損害額を算定し、保険金の支払い可否を決定します。
保険金が承認されると、指定の口座に振り込まれます。
修理までの流れ
- 保険会社が損害額を査定し、保険金支払いを決定
- 契約者の指定口座に保険金が振り込まれる
- 修理業者と工事日程を調整し、修理を開始
- 修理完了後、業者から領収書をもらい、保険会社に提出(必要な場合)
注意点
- 保険金が振り込まれる前に、自己判断で修理を始めない(修理後に申請すると、保険適用されないことがある)。
- 見積もりよりも高額な修理を行う場合、超過分は自己負担になる。
- 信頼できる業者に依頼し、不必要な工事を勧められないよう注意する。
火災保険を利用する際の注意点
火災保険を利用する際には、適切な手続きと正しい申請が求められます。
申請ミスや誤解があると、保険金が支払われなかったり、トラブルに発展する可能性があるため、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 免責金額(自己負担額)の確認
火災保険には「免責金額(自己負担額)」が設定されている場合があります。
免責金額とは、保険金が支払われる前に契約者が負担しなければならない金額のことです。
免責金額の例
- 免責金額0円 → すべての修理費用が保険でカバーされる
- 免責金額5万円 → 修理費用が30万円なら、保険金支給は25万円
- 免責金額10万円 → 修理費用が8万円なら、自己負担となり保険金は支払われない
注意点
- 契約内容によっては免責金額が設定されているため、事前に確認すること
- 小規模な損害(修理費が免責金額以下)では保険金を受け取れない可能性がある
2. 保険金請求の期限(3年以内)
火災保険の請求期限は、「損害発生から3年以内」と定められています(保険法第95条)。
そのため、被害に気づいたら早めに申請することが重要です。
申請期限に関するポイント
- 台風や強風による損害は、発生日から3年以内に請求可能
- すぐに雨漏りしなくても、後日発覚した場合でも3年以内なら請求可能
- 被害発生から時間が経つと、「経年劣化」と判断され、保険金が下りにくくなる
注意点
- 時間が経つほど、被害の証拠が消え、保険金請求が難しくなる
- 台風・大雪などの自然災害が原因の場合、発生した年を記録しておくとよい
- 契約内容によっては短縮される場合があるため、約款を確認する
3. 虚偽申告や過剰請求は厳禁(保険詐欺に注意)
火災保険の請求では、損害を正しく申告することが必須です。
虚偽申告や不正請求をすると、保険金が支払われないだけでなく、最悪の場合「保険詐欺」として法的措置が取られる可能性があります。
虚偽申告・不正請求の例
- 実際には被害がないのに、保険金を請求する
- 経年劣化による雨漏りを「台風被害」と偽って申請する
- 修理業者と共謀し、実際より高額な見積書を提出する
- すでに修理済みの箇所を、未修理のように見せかけて申請する
こうした不正が発覚すると、
- 保険契約の解除や保険金の支払い拒否
- すでに受け取った保険金の返還請求
- 悪質な場合は詐欺罪として刑事罰の対象
になる可能性があります。
注意点
- 保険申請の際は正直に報告し、証拠を揃えることが大切
- 「火災保険で無料修理できます!」と勧誘する業者には要注意(悪徳業者の可能性)
- 不正が発覚すると、以後の保険契約にも影響を及ぼす可能性がある
4. 火災保険を悪用する業者に注意
近年、「火災保険を使って無料で修理できます!」といった勧誘を行う業者が増えています。
しかし、これらの業者の中には「悪徳業者」も多く、トラブルに発展するケースが少なくありません。
悪徳業者の特徴
- 「保険金で全額負担ゼロ!」と強調する
- 「申請は代行します」と言い、虚偽申告をさせる
- 相場より高額な修理費用を請求する
- 「今すぐ契約しないと保険が使えなくなる」と急かす
悪徳業者と関わると、
- 適正な保険金が支払われない
- 施工不良によるトラブル(手抜き工事、再発)
- 最悪の場合、詐欺の共犯として責任を問われる
といったリスクがあるため、注意が必要です。
悪徳業者に騙されないためのポイント
- 必ず複数の業者から見積もりを取る
- 「無料修理」を強調する業者には注意する
- 契約前に保険会社や弁護士に相談する
- 保険金の申請は自分で行う(業者任せにしない)
5. 申請前に保険会社や専門家に相談する
火災保険の適用範囲は契約内容によって異なるため、
「このケースは保険適用されるのか?」と迷った場合は、保険会社や専門家に相談するのがベストです。
相談先
- 保険会社(東京海上日動のカスタマーサポート)
- 信頼できる屋根修理・雨漏り業者
- ファイナンシャルプランナーや弁護士
適用範囲をしっかり確認し、正しく申請することが、スムーズに保険金を受け取るためのポイントです。

まとめ
東京海上日動火災保険では、風災・雹災・雪災といった自然災害が原因で発生した雨漏りについて、一定の条件下で補償の対象となる可能性があります。具体的には、台風による強風で屋根材が損傷した場合や、大雪の重みで建物に被害が生じた場合などが該当します。ただし、建物の自然な劣化(経年劣化)や施工時の不備、地震による損害については補償の対象外となるため、契約時に補償内容を詳しく確認し、理解しておくことが非常に重要です。
保険を効果的に活用するためには、被害の状況を写真や動画で記録に残し、発生した日時や気象条件なども詳しく記録しておくことをお勧めします。また、被害を発見したら可能な限り早急に保険会社へ連絡し、必要な手続きについて相談することが賢明です。さらに、日頃から定期的な点検やメンテナンスを行い、適切なタイミングで修理や補修を実施することで、大切な住まいを長く快適に保つことができます。
「雨漏り修理の達人」では、火災保険を活用した修理の相談や、確かな技術を持つ専門業者の紹介を行っています。どのような被害が保険適用の対象になるのか、どのように申請すればよいのか、不安や疑問をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。適切な修理と保険申請をサポートし、安心して住み続けられる住環境づくりをお手伝いいたします。