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モルタル外壁とは?種類とメンテナンス、雨漏りを防ぐ方法

家の外壁は屋根と同じく家を守る大切な要素であり、そして外観の印象を左右する箇所でもあります。
最近の外壁の主流は窯業系サイディングですが、職人が手で仕上げていくモルタルは、歴史があり、工場で生産される製品とは異なる味があります。
今回はモルタル外壁について、歴史や種類、メリットやデメリット、雨漏りしないためのメンテナンスについてご紹介します。

モルタル壁とは?

モルタルとは、セメントと砂、そして水を混ぜ合わせた素材を指します。
このモルタルで外壁の下地を作り、上から塗装で保護しています。
モルタルの主成分はセメントであり、吸水性があるためモルタル壁そのものの防水性は高くありません。そのため上から塗装を行うことで水から守っています。
1980年代までは日本で主流の外壁だったため、築25年以上の住宅では現在でも多く見られます。

モルタル壁の歴史

モルタルをはじめとするセメント系の仕上げ材は、明治以降の近代化に伴って西洋から取り入れられました。
当時はセメントは高価な素材であり、官営の建築物に使用されていました。その後上流階級にも木造の洋風建築が広まると、外壁をモルタルで塗り上からセメント系の仕上げをする大壁構造が登場します。
そして明治42年にはメタルラスが初めて日本に紹介されます。メタルラスとは薄い金属板に刻み目をいれて引き延ばしたもので、モルタルを安定させて崩れにくくする役割があります。
これまで日本の住宅は壁土以外は土や藁や木など燃えやすい素材でできており、何度も大きな火事に悩まされてきました。
大正12年の関東大震災で東京の多くが焼野原になった経験から、モルタルの不燃性に注目が集まり、大正から昭和初期にかけて木造住宅でもモルタル壁が普及するようになります。当初はドイツ壁やスペイン壁と言われたスタッコ仕上げが多く施工されていました。その後リシン掻き落としなど他の仕上げも用いられるようになります。
その後の第二次世界大戦が始まると空襲による火災を防ぐ目的でモルタルが広まっていきますが、終戦直後の空襲で再び東京が焼け野原になってしまうと再度モルタルの不燃性が強く認識されました。
昭和25年に建築基準法が制定されると、その中で「防火構造」としてメタルラスを使用したモルタルが規定されることになりました。
その後1975年住宅の洋風化ブームもあってモルタルはますます普及しましたが、1990年ごろに工場で生産できる窯業サイディングが登場して以降はシェアを譲っていきます。

モルタル壁の施工方法

外壁には二種類の工法がある

外壁の施工方法、「湿式工法」と「乾式工法」の二つに大きく分けることができます。
湿式工法は、今回ご紹介するモルタルと、漆喰など塗り壁材を職人が現場で左官によって塗って仕上げていく工法です。
職人の腕によって仕上がりが左右され、施工時間もかかるため近年では工場で生産された製品を現場で組み立てる乾式工法が主流になっています。
乾式工法は、前述のように、予め工場で生産されたパネルや合板を現場で組み立てて取り付ける工法です。
現在外壁の7割を占める窯業系サイディングやALCなどはこの工法となります。
塗り材を乾燥させる手間や、仕上がりが職人の腕に左右されることも少ないというメリットがあり現在多くの新築工事で採用されています。

モルタルの施工手順

モルタルの施工方法は、まずは構造材となるボードを施工し、上から胴縁という木材を貼って下地との間に隙間を確保します。
こうして通気層を作ることで壁の内部での結露して木材が腐食することを防ぎます。
そしてその上からアスファルトフェルトという防水材を張り、補強のために「ラス」と呼ばれる金属製の網(メタルラス)を施工します。
このメタルラスの上からモルタルを塗ることでモルタルが固定され、耐火性や耐久性を向上しています。
モルタルを上塗りして、吹き付けなどで仕上げて完成です。
最近ではメタルラスの代わりに、表面に長方形のくぼみとつけてモルタルの密着性を高めた石膏ラスボードや、合板にポリマーにモルタルを塗布したラスカットという下地材も使用されるようになっています。

モルタル壁の種類

モルタルの仕上げ材には色々な種類があります。

リシン

リシン

リシンはモルタルの表面化粧材の一つです。
猛毒のリシン(Ricin)と日本語では表記が同じですが、まったく別物です。
一説では昔日本に入ってきた石目調の吹付材の名前が「lithing」だったため「リシン」と呼ばれるようになったと言われています。
リシンは細かく砕いた石や砂などの骨材に樹脂やセメント、着色剤などを混ぜたものを施工するため表面に凹凸がある仕上がりになります。
合成樹脂エマルションを結合材にした樹脂リシンとセメントを結合材にしたセメントリシンがあります。
リシンの工法には、「掻き落とし」と「吹きつけ」の二つがあります。
吹き付けの方は現在では一般的で、専用のスプレーガンを使って吹き付けていきます。短期間で広範囲を施工できるため価格は抑えられますが塗膜が薄くなります。
掻き落としは鏝を使ってリシンを施工した後にブラシなどで掻き落とします。掻き落とす量で多彩な変化がつけられます。塗膜は厚くなりますが、手間がかかるため施工費用は高めです。

スタッコ

スタッコ吹放し仕上げ

元々「スタッコ」とはアメリカでの外部塗り壁の総称でした。スタッコはモルタルが導入された大正当時はドイツ壁やスペイン壁と呼ばれ、当初からよく採用されていました。
以前は石灰をベースに作られていましたが、リシン同様に現在では合成樹脂エマルションやセメントを結合材にしたセメントスタッコや樹脂スタッコなど様々な種類があります。
また、本来はセメントモルタルなどの塗剤をコテや木片などで叩いて引き起こす仕上げのことを指していますが、多彩な表現が可能な吹き付けスタッコが登場し、独特の素材感や重厚感を以前よりも少ない手間で得ることができます。
リシンよりも骨材が大きく、また厚く塗ることが可能です。
スタッコには仕上げの種類が二種類あります。
吹放し仕上げは吹き付けガンで吹き付けたまま仕上げる仕上げ方法です。ざらざらとした見た目になります。
ヘッドカットは吹き付けた後にコテやローラーで押さえて仕上げる方法です。突起部分が押されてつぶれたような形になります。

吹付タイル

吹き付けタイル

吹付タイルは、寒水石・けい砂などの細骨材を混合したものをタイルガンという口径の大きな専用の塗装機で吹き付けて仕上げる方法です。
タイルとありますがいわゆるタイルとは異なり、吹き付け仕上げの一種です。
「複層仕上げ塗材」の一種で、下塗り・主剤・上塗りの三層で仕上げるため厚みがあります。
モルタル壁の仕上げに多く使われていますが、サイディングの模様としてつかわれていることにあります。
リシンやスタッコは骨材を含む「骨材仕上げ」のためざらざらした質感になり、吹付タイルは陶磁器タイルのような滑らかな質感の仕上げになる点が大きく異なります。
吹付タイルは「ボンタイル」と呼ばれることもありますが、ボンタイルは元々1960年代に輸入されたドイツ・クノール社の商品名でした。
この商品を参考にして吹き付け施工したスタイルがボンタイルと呼ばれ、そのまま定着していった背景があります。
吹き付けタイルにはスタッコと同様に、吹き付けたまま仕上げる吹き付けタイル吹き放しと、吹き付けた後に表面をローラーなどでつぶしていくヘッドカットがあります。

左官仕上げ

左官仕上げ

左官仕上げは職人がコテを使って仕上げる工法です。
職人の腕一つで様々な模様を出すことができるため、オリジナルの模様にしてもらうことも可能です。
手仕事の味わいを楽しめますが、仕上がりは職人の腕に左右されます。
様々な模様が付けられる、ジョリパットというフランス生まれの仕上げ材が近年ではよく用いられています。

ローラー仕上げ

吹き付けではなく、専用のローラーを使って模様を作っていく仕上げの方法です。
吹き付けよりも塗料の飛散や騒音が少なく、手間やコストを抑えることができます。
スポンジ状の繊維を取り付けたマスチックローラーは大量の塗料を厚塗りすることができ、塗料の耐久性が高まります。塗料の粘性や厚みを活かして凹凸のある模様を表面に作り出します。
パターンローラーでは格子状や花柄などの模様を作ることができます。

モルタル壁のメリット

意匠性が高く、デザインの自由度も高い

モルタルの魅力は、職人が手で仕上げていくことです。
仕上げの方法や使用する道具、ローラーやガンを調整することで多彩な模様を作り上げることが可能です。
その仕上がりには工場製品にはない温かみがあり、一軒一軒異なった表情が楽しめます。
サイディングのように継ぎ目ができないので見た目も美しく連続性のある外観も特徴です。

耐火性が高い

歴史の項でご紹介したように、モルタルはその耐火性に着目されて広く普及しました。モルタルは原料がセメント、砂などの不燃物で構成されているため火事の際も燃えることもなく有毒物質を発生することもありません。
既定の厚さ以上に施工したモルタルは建築基準法においては不燃材料とされており、モルタルを壁材として使用すると建物が準耐火構造や耐火構造として認定されます。

遮熱効果が高い

モルタルは金属材の外壁のように表面が高温になることがなく、また厚く塗り重ねていくため、高い遮熱性を得ることができます。
そのため室内の温度上昇が少なく、より快適に過ごせます。また遮音効果もあるためサイデイングよりも外部の音が中に通りにくくになります。

モルタル壁のデメリット

ひび割れができる

モルタルの大きなデメリットはひび割れができることです。
ひび割れの原因にはいくつかあり、モルタルそのものが乾燥してできるひび割れや、紫外線などによる経年劣化で表面を保護する塗膜が劣化すると内部のモルタルが雨を吸水するようになり、乾燥と吸水を繰り返すことでひび割れが発生します。他にも気温変化が大きいと、寒いと収縮し暑いと膨張する性質からひび割れを起こします。
また地震などの自然災害で建物が揺れて動くと歪みに耐えきれずにひび割れてしまうことがあります。

汚れやすい

モルタルは表面に凹凸のある味のある仕上がりが特徴ですが、この凹凸に汚れやゴミが溜まりやすい性質があります。また凹凸に水が溜まりやすくカビや苔も発生しやすい外壁でもあります。
凹凸が大きければ大きいほど汚れが隙間に溜まりやすく、また色が薄いほど汚れが目立つため、モルタル外壁を美しく保つには定期的なメンテナンスが欠かせません。

職人によって仕上がりが異なる

モルタルは現場で職人が専用のローラーやスプレーガンを使って仕上げていきます。またモルタルの材料を下地の状態に合わせて作るためにも経験が必要です。
そのため職人の技術や経験によって仕上がりや耐久性に差が出てしまいます。モルタルそのものが減少するにしたがって吹き付け塗装を行える職人も減少傾向にあります。経験や実績のある職人に依頼することが重要です。

費用が高い

モルタルを乾燥させる手間など工程が長くなるため、その分工事の費用も高くなりがちです。職人が減少していることもコストが高くなってしまう原因の一つです。

モルタル壁の劣化症状

モニエルはひび割れが起こりやすく放置するとさらにひび割れが広がり、隙間から雨水が侵入するなどやがて雨漏りに発展しまいます。
こちらではモルタル外壁の劣化症状をご紹介いたします。

ひび割れ

ひび割れ

モルタルの外壁ではどうしてもひび割れができやすくなります。
ひび割れには二種類あり、幅0.3mm以下、深さ4mm以下のものをヘアークラックといい、緊急性は高くありません。
ヘアークラックよりも大きなものを構造クラックといい、水の侵入が懸念されるためこちらは早急に補修が必要です。放置すると隙間から水が入り込み内部を腐食させたり雨漏りの原因にもなってしまいます。

チョーキング

チョーキング

指で触ると白いチョークのような粉が付く現象をチョーキングといいます。
これは塗料の樹脂が紫外線で劣化して分解され、表面に粉となって吹き出ている状態です。塗料の防水機能も劣化しているため、放置するとどんどん悪化してひび割れや剥がれが起こってしまいます。

塗膜の浮きや剥がれ

塗膜の浮きや剥がれ

ひび割れなどから水が侵入すると塗膜の膨れや剥がれが発生します。塗膜が剥がれてしまうと壁を保護する機能は完全に失われて水が侵入し、モルタルが吸水して内部が水を含み、壁の中が傷んでしまいます。

コケや藻・カビの発生

塗料は塗った当初は防水性がありますが、劣化して防水性が失われてくると水を弾かず水が表面に溜まるようになります。
モルタルの表面は凹凸が多いため水が溜まりやすくコケや藻が発生しやすい壁でもあります。
苔の根からは根酸という酸性物質を放出しており、アルカリ性であるセメントを中性化する現象が発生して素材を脆くしてしまう危険性があります

モルタル壁の雨漏りを防ぐメンテナンス

モルタルの壁の劣化を放置すると、やがてモルタル自体が剥がれるなど大きな破損へと進展します。外壁が露出すると構造材にまで雨水が浸透し、建物内部の腐食を引き起こし雨漏りの発生や建物そのものを傷めてしまいます。
モルタルの耐用年数は約30年と言われていますが、定期的なメンテナンスを行うことで30年以上持たせることもできます。

塗装工事

モルタルの塗装によるメンテナンス

一般的なメンテナンス方法です。
適切な下地の補修を行い、定期的に塗り替えて表面を保護する塗膜を新しくすることで長持ちさせ、家を守ることにつながります。
まずは高圧洗浄で苔やカビ、埃などをしっかり落とします。モルタルは凹凸部に汚れが溜まりやすいので丁寧に落としていきます。
モルタルの塗装で重要なのが下地補修です。下地の補修を行わないと内部の傷みが進行してしまい雨漏りに発展する恐れや、せっかく行った塗装が数年で剥がれてしまう可能性もあります。
下地の状態に合わせてそれぞれ必要な補修方法があります。
ヘアークラックはシーリングを充填して補修を行い、構造クラックはU字にカットしてシーリングを充填します。

モルタルの下地補修

元々の模様がなくなっている場合にはパターン補修や、大きく剥落など起こしている場合には左官補修を行います。
下塗りにはカチオンシーラーや微弾性フィラー・弾性フィラーを用いて細かいヒビ割れなどを整えていきます。
上塗り塗料はモルタルに適したものを選びます。
シリコン系、フッ素系など塗料のグレートによって対応年数や金額が異なります。
メンテナンス回数を減らしたい方には、フッ素や無機など耐用年数の長いものがおすすめです。

張り替え工事

既存のモルタル壁が大きく劣化している場合には、古い壁を撤去して新しい壁を施工します。
雨漏りを起こして下地まで腐食しているような場合にはこちらの工事となります。
下地が腐食している場合には下地から新しくして上に新しい外壁を施工します。
古い壁材などの撤去・廃材費用が必要となり工期も長くなるため大掛かりと工事となるので費用も高くなりますが、外壁材そのものを窯業系サイディングや金属系などまったく別のものに変更することが可能です。

モルタルの雨漏り防止にはメンテナンスが重要

日本の塗り壁文化の流れを受け継ぎながら、明治以降の近代化によって日本に取り入れられたセメント系仕上げ材であるモルタル。
洋風の見た目と特に耐火性に着目され、1970年代~1990年代に広く流通しました。
現在でもモルタルのお家であるという方も多いかと思います。
モルタルはセメント系のため、素材そのものに防水性がありません。塗装で保護しており、塗膜が劣化するとモルタルが雨水を吸水して劣化が進行します。
またモルタルの特徴としてひび割れが起きやすいこともあるため、定期的に塗装を行うことで、ひび割れなどを補修する必要があります。
定期的な補修と塗装によるメンテナンスによって、美しい見た目と防水機能を保ち、建物そのものを雨漏りから守って長持ちさせることができます。
モルタルには骨材の混合方法や結合方法、仕上げの方法など多くの種類があり、補修の方法も下地の状態によって異なります。
また適切な下塗りや上塗りの選択など、多くの知識が求められます。
モルタルの補修は経験豊富な信頼できるプロに依頼するのが長持ちの秘訣でもあります。

モルタル外壁が雨漏りを起こしている時の症状については「モルタル外壁の雨漏り時に現れる症状を徹底解説」をご覧ください。

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