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Tags:屋根材
セメント瓦という屋根材を聞いたことはありますでしょうか?
名前に「瓦」とついていますが、粘土から作られたいわゆる日本瓦(粘土瓦)とは別物です。
粘土瓦は高い耐久性を誇りますが、セメント瓦は形は瓦に似てはいるもののまったくの別物で、耐久性も瓦より劣ります。
セメント瓦は定期的に塗装によるメンテナンスを行わないと劣化して、雨漏りにまで至ってしまいます。
こちらのページでは、セメント瓦についてその特徴や、雨漏りの発生リスクや原因、そしてメンテナンス方法などをご紹介します。
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セメント瓦はセメントと砂を1:2〜1:3の比率で混ぜたものを瓦の形に成型した瓦です。
粘土瓦は練り上げた粘土を窯で高温に焼き上げて作ります。釉薬で仕上げたものと、釉薬を付けないものがあります。
セメント瓦は高圧でプレスして高耐久性塗料で仕上げをしています。
スレートと主成分が同じセメントであり、一般に流通している厚さ約約5mmの化粧スレートにたいして、セメント瓦を「厚形スレート」と呼ぶこともあります。
スレートは当初耐久性を上げるためアスベスト(石綿)を含む石綿スレートが、明治37年代に輸入され、大正3年から製造されていました。
しかし昭和14年の軍事優先の経済制裁によって石綿は軍事利用が優先され、石綿の配給が止まったことで、石綿を使用せずに強度の高い屋根材を作る需要が高まります。そこで厚みを増したスレート瓦である厚形スレート=セメント瓦が製造されたと言われています。
セメント瓦は、窯で焼いて仕上げる粘土瓦よりもコストが安いため、住宅不足であった高度経済成長期に広く普及しました。
薄型である化粧スレートも、昭和36年に久保田鉄工株式会社(現ケイミュー株式会社)が販売開始し、大量生産可能な屋根材として同時期に広く普及しました。戦後はまた石綿が耐久性向上のために広く使用され、規制される2004年までに製造されたセメント瓦やスレートにはアスベストを含有している可能性があります。
セメント瓦は主に四国、九州地方で多く用いられていました。
平成10年以降に粘土瓦の価格が下がり始めた頃からセメント瓦の生産量も下降し、生産量が減るに伴って価格も高くなり、現在では粘土瓦の方が安くなっています。
安くて瓦にそっくりというセメント瓦のメリットが失われてしまい、他にも耐久性が高く安い屋根材が登場したこともあり、現在ではセメント瓦はほとんど生産されていません。
現在では施工から30~40年が経過しており、セメント瓦の耐用年数を超えているため多くの家が葺き替えなどのメンテナンスを必要としています。
セメント瓦とコンクリート瓦は非常によく似た屋根材ですが、主材であるセメントに川砂を加えたものがセメント瓦で、砂利を混ぜたものがコンクリート瓦です。
コンクリート瓦はヨーロッパで広く普及していたものが日本にも輸入され、セメント瓦と同じく1970年代〜80年代に広く普及しました。
見分け方は、小口部分が凹凸があってごつごつしているのがコンクリート瓦、滑らかなのがセメント瓦です。
セメント瓦はセメントが主な成分のため、成型がしやすく、F型、S型、J型など、伝統的な瓦の形のような和風のデザインのみならず洋風など様々なデザインのものがあります。また色にもバリエーションがあり、色々な住宅のデザインに合わせやすいというものメリットの一つです。
元の原料であるセメントは不燃材料に指定されています。セメント瓦は耐火性能に優れており、万が一火事が起こっても燃えにくく、延焼しにくいため安心です。
セメント瓦の耐用年数は約30~40年です。
これはスレート屋根の約20~30年と比べても長く、比較的耐久性の高い屋根材です。
ただし粘土瓦は耐用年数が50~100年と言われており、そちらと比べるとやはり劣ってしまいます。
セメント瓦自体に厚みがあるため屋根材そのものも丈夫であり、塗装などメンテナンスを行うことで寿命を長く保てます。
セメント瓦は主成分がセメントのため柔軟性に欠け、衝撃によって比較的割れやすい屋根材です。
また収縮などによってひび割れも起こしやすく、ひび割れが発生するとその隙間から雨水が浸み込んで内部まで劣化し、やがて雨漏りへと発展してしまいます。
主成分であるセメントはそのまま雨ざらしになると急速に劣化してしまいます。
そのため表面に高耐久性塗料で仕上げてあることがほとんどですが、塗料は紫外線によって劣化するので、定期的に再塗装を行って保護する必要があります。
塗膜が劣化すると塗装の剥がれや苔の発生などの症状を起こし、内部のセメントが露出すると劣化が進行して雨漏りリスクも高くなってしまいます。
セメント瓦は粘土瓦とほぼ同じ重さで、1㎡あたり約60kgです。30坪の屋根の場合、重さは4トンを超えてきます。
ガルバリウム鋼板に代表される金属屋根は1㎡あたり約5kgで、スレート屋根が約20kgなのでかなり重い屋根だと言えます。
屋根が重いと柱や梁など建物の躯体に負荷がかかるだけではなく、重心が高くなり、地震の揺れが大きくなります。
セメント瓦による雨漏りは、下記のような原因によって発生します。
上記のように塗装が必要な屋根材であるセメント瓦は、塗装が劣化すると防水機能が屋根材自体にないため、水を吸収するようになります。
吸水と乾燥を繰り替えすことで屋根材に負荷がかかり、また雨水によって成分が流出することでひび割れや苔などが生えていきます。
セメント瓦は凹凸のある屋根材なので、水が溜まりやすく、カビや苔が生えやすい屋根材でもあります。
苔やカビが生えるとそこに水分が常に溜まるようになり、ますます屋根材の劣化が進行します。
塗装はセメント瓦を美しく保つだけでなく、屋根材を雨水から保護する重要なメンテナンスです。
定期的な塗装によるメンテナンスが雨漏りからセメント瓦を守ります。
セメント瓦は耐久性のある屋根材ですが、自然災害など外部からの力によって割れやズレなどの不具合が発生することがあります。
そうし衝撃によってセメント瓦がズレや割れなどの不具合を起こし、破損した箇所から雨が入り込んでしまうケースがあります。
そこから浸み込んだ雨が下地であるルーフィングや野地板まで到達することで雨漏りが発生します。
屋根は、「一次防水」である屋根材と「二次防水」であるルーフィングの二重構造で雨漏りを防いでいます。
しかしルーフィングの耐用年数は15年~20年のため、セメント瓦が普及した時期に施工された屋根ではルーフィングの耐用年数が切れている可能性が非常に高いです。その場合、屋根材から浸透してきた雨水は耐用年数の切れたルーフィングを通過してその下地ある野地板という木材に至って野地板を腐食してしまいます。その雨水は室内に現れ雨漏りとなります。
また屋根の内部に常に水が張りこむような状態が続くと、湿気や水分によってルーフィングの劣化も早めてしまいます。
セメント瓦にも、粘土瓦のように棟部に漆喰が使用されています。
この漆喰は棟を固定し、隙間を埋めることで雨の侵入を防いでいます。漆喰は紫外線や風雨によって徐々に劣化し、ひび割れや黒ずみを起こし、劣化が進むと崩れてきます。
漆喰が崩れると雨が隙間から吹き込んで中の土が流出し、内部に雨が入り込むことで雨漏りの発生や、棟瓦のずれやゆがみなどが発生します。
棟瓦のあたりから白い塊が崩れていたらそれは漆喰が劣化している可能性があります。
漆喰も定期的なメンテナンスが必要ですので、劣化に気付かれたら専門業者にご相談ください。
セメント瓦を保護している塗装は、紫外線などによって劣化していきます。
塗料に含まれる顔料が劣化すると色が薄くなる色あせの症状がでてきます。色褪せは塗装が劣化しはじめているサインです。
放置していると剥がれやひびなどの劣化が現れる可能性が高いです。
すぐに雨漏りなど深刻な被害はありませんがセメント瓦の施工時期によっては全体が劣化している可能性もあるため点検が必要です。
表面の塗装の劣化が進むと、膨れてきたりそこから剥がれてくる症状が出ます。
塗料が剥がれてしまうとセメントがむき出しになってしまい急速に劣化が進んでしまいます。
剥がれが起こっている場合には内部が傷んでいる可能性があるため、全体を点検する必要があります。
セメント瓦がむき出しになってしまうと、セメント瓦本体の劣化が進行しひび割れが発生します。
セメントは雨水を吸収すると吸水による膨張と乾燥による収縮を繰り返して負荷がかかり、ひび割れや瓦のずれを起こしてしまいます。
こうしてひび割れやズレが発生するとその隙間から雨水が入り込みやがて雨漏りの原因となります。
瓦全体がひび割れている場合には屋根材がぼろぼろになっているなど相当劣化が進んでいる可能性が高いです。
表面を覆う塗膜が劣化すると防水機能が失われ、セメントの表面にある凹凸に水が溜まることでコケが生えやすくなります。
苔があると根を生やし、常に水分が蓄えられている状態となるため、瓦の耐久性を大きく損ねてしまいます。
屋根全体にコケが生えている場合は早急な対応が必要です。
ずれや欠け、割れなど一部のみが傷んでいる場合には、その傷みが軽い場合であればコーキングで補修を行います。
しかし瓦全体に大きな割れや欠けがある場合には、セメント瓦はほとんどが製造中止になっているため、同じものを見つけることはかなかり困難です。
その場合には全体を葺き替えることになります。
セメント瓦は塗装によるメンテナンスが欠かせません。
およそ10年単位で塗装によるメンテナンスを行います。
もしもセメント瓦本体の劣化が進んでいない場合には塗装によって防水性を回復します。
劣化がある場合には補修を行い苔や汚れを高圧洗浄で除去してから塗装を行います。
セメント瓦によく似たコンクリート瓦の一種であるモニエル瓦などには塗装する際に注意が必要です。
モニエル瓦は、オーストラリアのモニエル社と日本のクボタが共同開発し、1973年から日本モニエル(株)が販売していましたが2010年6月に日本市場からは撤退しています。
このモニエル瓦の表面には「着色スラリー層」という特殊な着色剤で着色した膜があり、もしもそのまま塗装してしまうとスラリー層ごと塗装が剥がれてしまいます。
そのため一度スラリー層を剥がしてから塗装を行う必要があり、通常の塗装よりも費用が高額になってしまいます。
モニエル瓦について詳しくは「モニエル瓦とは?雨漏り原因とメンテナンス、塗装における注意点」をご覧ください。
セメント瓦が普及した時期から30~40年経過していることを考えると、多くの屋根は耐用年数を過ぎていることが想定されます。
セメント瓦の耐用年数には至っていなかったとしても、ルーフィングの耐用年数を超えている場合もあります。
雨漏りを起こしている場合には、屋根材だけでなくルーフィングや野地板に問題が発生している可能性が非常に高くなります。
野地板の耐用年数は、構造用合板で約30年、構造用合板の前に用いられていたバラ板では約40年です。
屋根材を撤去する葺き替え工事では野地板の状態も調査できます。野地板の腐食が進むと屋根の重さを支えられなくなってしまいます。
葺き替え工事では必要に応じて野地板の補強や張り替えを行った上で新しいルーフィングを張り、その上から新しい屋根材を葺いていきます。
また、重量のあるセメント瓦を軽い屋根材へと葺き替えを行うことで耐震性も向上します。
野地板・ルーフィング・屋根材のすべてを刷新できる葺き替え工事で屋根が生まれ変わり、屋根の性能が回復し、建物の耐久性も向上します。
概要と歴史でお伝えしたように、石綿(アスベスト)は耐久性を強化するために建材のみならず多くの工業製品に使用されていました。
セメント瓦は厚みがあるため耐久性が高く、もともと石綿が使えなくなったために代わりに耐久性のある屋根材として採用された歴史があり、アスベストを含む製品はそこまで多くありません。
製品名が分かる場合には、国土交通省の「アスベスト含有建材データベース」で調べることが可能です。
アスベストが禁止された2004年以前に製造されたものには含まれる可能性がないとはいえないため、専門業者に依頼して確認してもらいましょう。
令和4年4月より、建築物の解体・改修工事を行う業者は石綿(アスベスト)含有の有無の事前結果報告を都道府県等に報告することが義務付けられました。
石綿の事前調査義務化に伴う屋根リフォームで知っておくべきこと
今回はセメント瓦についてご紹介しました。
当時はアスベストを含まなくても瓦にかわる耐久性のある瓦よりも安い屋根材として重宝されていましたが、瓦の価格が下がったことや、さらに安くて耐久性のある屋根材の登場によって現在ではほとんど使用されていません。
セメント瓦が施工された当時から30~40年が経過し、耐用年数も過ぎてきているため雨漏りなどが発生しやすくなっています。
セメント瓦の雨漏り修理や、葺き替え修理をお考えの方は、雨漏り修理の専門業者へとご相談ください。
(セメント瓦に関する施工実績)
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