ピッタリの雨漏り修理の達人は見つかりましたか?
「どの雨漏り修理職人を選べば良いかわからない…」という方に、お住まいの都道府県や雨漏りの症状などからピッタリの職人をご案内します。
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2020年2月下旬に国宝で世界遺産でもある京都の清水寺の本堂の屋根の葺き替え工事が完了しました。
2008年から平成の大改修が行われ、2017年2月からはクライマックスともいえる本堂の屋根の葺き替え工事が始まりました。
2017年から約3年かけての工事となります。
この葺き替え工事はこれまでの檜皮葺きの屋根を新しくするものです。
京都の京都御所紫宸殿、八坂神社、上賀茂神社や下賀茂神社や、厳島神社や出雲神社など各地の由緒ある寺社仏閣に用いられている檜皮葺き。
今回はこの檜皮葺きについて詳細や雨漏りの原因などについてご紹介します。
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檜皮葺きは1000年を超える歴史を持ち、日本独自の発展を遂げた屋根技術です。
檜皮葺きの特徴は、何重にも檜の皮を重ねられた屋根が描く優美な曲線。
軒が深いのも特徴で、屋根の頂点から軒が描く躍動感あふれる姿が印象的な大屋根構造をしています。
檜は耐久性のある木材で、腐敗にも強く、優れた屋根材と言われています。
檜皮葺きは樹齢百年以上の檜の皮だけを木を傷めないように採取し、長さ約75cm×約15cmの細長い扇形に形を整え、少しずつずらしながら重ねて屋根を葺き、真竹から作った竹釘で固定して作られます。
皮を剥いで整える原皮師、檜皮を葺く葺師、竹釘を作る竹釘師と様々な専門の職人が長い間に培われた技術を総動員して作り上げる伝統技術が集結した屋根といえます。
耐用年数は約30年で、この屋根の厚みによって雨漏りを防いでいます。
そのため檜皮葺きが使用されている国宝や重要文化財の建物は30~40年の周期で葺き替えられています。
日本の建築には、一般の住宅では現在では瓦やスレート、金属屋根が採用されていますが、歴史的には茅葺きや檜皮葺き、杮葺きなど植物を用いた屋根が長い間使用されてきました。
瓦が日本に流入したのは588年頃。しかし当時は大変高価な屋根材であった瓦は、仏教伝来とともに広まった大きな寺院で使用されることが多く、絵巻物などでも大きな寺院以外は檜皮葺と板葺で描かれていることが多く見受けられます。
瓦屋根が一般に普及するのは江戸時代に瓦の原型ともいえる桟瓦が開発された以降となります。
檜皮葺きが登場したのは7世紀後半の飛鳥時代と言われており、当時は宮殿なども含めて様々な建物に使用されていました。
藤原京の造営には多量の木材が使用され、その派生材として檜皮を活用する目的で檜皮で屋根を葺く方法が考案されたと言われています。
奈良時代に入ると、高価な瓦の代わりに檜皮葺きは貴族住宅や寺院などに積極的に使用されるようになっていきました。
現在では檜皮葺きは高級感のある屋根葺きというイメージですが、当時一般に用いられていた檜皮葺きは現在見られるものとは違い、檜皮を縄や黒葛で縫い付けたより簡素なものであったと考えられています。
鎌倉時代に入ると竹釘を使って止めていた様子が見られるようになり、職人が工夫をして現在の檜皮葺きの屋根に近い優美な曲線を創り出すために試行錯誤をした中で竹釘が考案されたと言われています。
現在の檜皮葺きに近い薄皮葺化などの技法は鎌倉時代に確立され、その頃から良質な檜皮を生産する地域が産地化されていったようです。
檜皮葺きは現在でもそれぞれの職人が手作業で培われた技術を用いて仕上げています。
画像出典:http://www.okunijinja.or.jp/oyanegae/hiwada/
檜皮葺きの材料となる檜皮は、原皮師(もとかわし)と呼ばれる職人によって採取されます。
樹齢百年以上の原木を切り倒すことなく、また木にダメージを与えないように木の水分の動きが少ない秋から冬場にかけて行われます。
根本部分に特別なへらを差し込み、巾25㎝程度になるように下から上へと剥がしていきます。皮をはぎとるには原木にダメージを与えないよう細心の注意と熟練の技術が求められます。
樹皮を剥いだ原木は、10年程度すると外皮が回復してまた採取できるようになります。
はぎとった本皮は通常長さ75cm、直径40cm、重さ30kgほどの「丸」と呼ばれる単位で筒形にまとめられます。
葺師はこの原皮を「洗皮」という工程で特殊な一本の包丁を用いて一定の厚みに削いで整え、ヤニや筋を取り除いていきます。次の「綴皮」と呼ばれる工程では屋根の用途別に厚みや形を整えていきます。屋根の大部分には「平地(ひらじ)」用の檜皮が用いられ、軒先部分には「軒付(のきつけ)」用の檜皮というように、用途によって決まった厚みやサイズに加工していきます。
整えられた皮は役割ごとに「束」と呼ばれる単位でまとめられます。
厚みが異なると美しい曲線が出せないためこちらも熟練の技が求められます。
一例では、屋根1坪に対して原皮5丸分(約150㎏)、ヒノキ25本が必要とされています。
画像出典:http://www.okunijinja.or.jp/oyanegae/hiwada/
檜皮葺き屋根は軒先から葺いていきます。
檜皮を十分に水にひたした後で、土台となる裏板の上に重ねて竹釘で打っていきます。
平葺きの部分では水で濡らした平皮を4分(1.2cm)間隔で並べていきます。
屋根の谷部分はへこんでいるため雨が溜まりやすいので特に慎重に施工されます。すべてが手作業であり、不安定な屋根の上で竹釘を片手で打つなど熟練の技と経験を要する作業です。
竹釘は竹釘師によって真竹から作られますが、一坪当たり平葺の箇所で約2400~3000本という膨大な量を使用します。
熟練の職人たちの手によって作り上げられた檜皮葺きは、天然素材のみで作られ、厚みのある重厚感と美しい曲線を描き、日本の伝統建築を味わるある趣で彩ります。
ヒノキは耐久性のある木材であり、そのヒノキの皮である檜皮そのものの耐水性と、皮を厚く重ねることによって、檜皮葺きの屋根は建物を雨漏りから守っています。
しかし屋根そのものが劣化すると耐久性が落ちて雨漏りの原因となります。
檜皮葺きの屋根が劣化すると、経年によって檜皮が損傷したり抜け落ちるなどの症状が現れます。
他にも鳥が巣作りの材料として軒付あたりから檜皮を持ち去ってしまって穴が空くことがあります。
水切りの劣化の対策として銅板を葺き込むケースも見られますが、檜皮が塗れて溶け出した成分が銅を腐食させる例も報告されているためあまり多くは採用されていないようです。また檜皮の表面に土や砂が溜まって雨水を含むことで藻や苔が繁殖して劣化することもあります。
他にも屋根だけではなく、外壁などの雨仕舞が不十分であることからも雨漏りは発生します。
寺院では雨漏りが発生すると建物自体が損傷するだけではなく、重要なご神体や法仏まで被害が及んでしまう危険性があるため雨漏りが発生した場合、早急に対処する必要が求められます。
部分修理で対応できる場合は補修を行いますが、雨漏りが起きる場合には屋根そのものの耐用年数が過ぎているケースがほとんどです。
そのため多くは檜皮葺きの葺き替え工事になります。
とはいえ檜皮葺きは坪単価が約15万円とも言われ非常に高価であり、専門的な人手を要し、工事にも時間を要するためなかなか簡単には行えない工事です。
そのため寺院の中には例えば浅草寺ではチタン製の瓦を採用して耐久性や耐震性、そしてメンテナンスの手間を大幅に改善する寺院もあります。
檜の特質と厚みを活かして屋根を雨漏りから守る檜皮葺きは、原木から何度でも採取でき、サステナブルで日本独自の伝統的な技術が結集した優美な美しさをもつ独自の屋根です。
しかし現在では特に原皮師の後継者不足問題と、国内の檜皮の供給量が需要の半分にも満たない点などが国会でも取り上げられるほど深刻化しています。
国宝や重要文化財に欠かせない技術ともいえるため、継承されていくことを願います。
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※営業電話は一切いたしませんのでご安心ください。
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